デオドラントやガムのCMが頻繁に流れ「ニオイのエチケットは大切だよ」というムードが世の中にあります。
ニオイへの意識が高まる中、ごく普通の体臭でも「自分のニオイがきつくて、周りのひとが迷惑しているんじゃ・・・嫌われるんじゃ・・・」と悩んでるひともいるのではないでしょうか?
悪化すると「自分はきっと臭いんだ、ひとに会うのがつらい・・・」に変わってしまいます。
ニオイエチケットに多少神経質なくらいなら個性のひとつですが、人に会うのがつらいくらい「自分は臭い」と思い込むと、それは心の病になってしまい「自臭症」とよばれるようになるんです。
自分のことを体臭・口臭に関わらず「臭い」と思い込む心の病が自臭症ですが、自己臭症・自己臭恐怖症などの別名でもよばれます。
どうして自臭症が起こるのでしょうか。
体臭を指摘されたトラウマとは「体臭があるわけではない、もしくは一過性のものだったのにも関わらず「臭い」と指摘された」ことをいいます。
具体的には、たまたまニオイのあるものを食べた時や、いやがらせ目的で気になるニオイは無いのに「君って臭いね」と言われたなど、シチュエーションは様々です。
ここでは言われたという事実より「実際にいつも臭いわけではないが、本人は「自分はいつも臭いんだ」と思い込んだ」ということがポイントになります。
おおらかで細かいことを気にしない性格なら「そう?今度から気をつけるね」で終わるのですが、これが敏感・繊細・完璧主義な性格の持ち主だと「自分は臭いから完璧に対策しないと・・・でもそれでもまだ臭いかも・・・」と深く悩んでしまうことになります。
さらに悪化して「自分は臭いし、ニオイを指摘されることが辛くて、ひとに会うのがつらい」となって生活に支障が出てしまうと自臭症の領域になってしまいます。
自臭症は引きこもりの原因になっている心の病「対人恐怖症状」の一種とされていて、軽くは扱えない問題です。
敏感・繊細・完璧主義な性格はそのひとの長所でもありますし、トラウマになった記憶を消してしまうこともできません。
「自分は臭くないんだ」という事実を客観的に受け入れ、納得するまでが克服への道になります。
もしかして自分は自臭症かも?と思ったひとは、自分でチェックしてみましょう。
客観的な方法で自分にきついニオイがないことを知るのがまずはスタートです。
そこで「そうか、自分は臭くないんだ」と気が付いて自臭症を克服するひともいるので、まずは思い込みではなく客観的に自分のニオイをチェックしてみましょう。
それでも「自分は臭いんだ」という考えが頭から離れず、誰かが顔をそむけるような仕草をしたりすると「自分のニオイに迷惑してる?」と心配になったり、お風呂に何度も入ったり、デオドラントがないと不安でしょうがないという状態だったら自臭症の危険があります。
「ひとに会いたくない」気持ちになる、悲しく気分が落ち込み物事が手につかない、眠れないなど「うつ」の症状にこころあたりがあれば、精神科や心療内科のお医者さんに相談しましょう。
自臭症とうつは同時に起こることが多いとされているんです。
「ただの思い込み」と片付けるにはつらい自臭症の症状ですが、克服するにはまず「自分は臭くない」という事実を受け止め、納得することが大切といわれています。
客観的に「自分が臭くない証拠」を集める方法はいろいろあるんです。
病院で口臭を専門に扱う口臭外来や、体臭を扱うワキガ外来などもあるので、ニオイを測ってもらえる病院を探して、客観的に自分のニオイがどうなのか徹底的に調べてみましょう。
実際に「自分の口臭を検査・治療してほしい」と口臭外来を訪れたひとの3分の1が「治療の必要のない程度の口臭」と診断されたというデータもあり、実際には臭くなくてもニオイの心配から病院を受診するひとはたくさんいるんです。
機械は気を使って「臭くないよ!」なんて言いませんし、正直に「この数値以下なので不快なニオイではありません」とニオイの事実だけを教えてくれるので心強い味方です。
あと「自分はひとにニオイのせいで嫌われる」という考えを拭い去るために、誰かに「あなたは臭くない」と言ってもらいましょう。
実際には臭くないのですから「自分は自分のニオイが気になって、心配でたまらない」と正直に言えば「別に臭くないよ?」という返事が返ってくるはずです。
さらに、他人のニオイを嗅がせてもらって「人間だれしもニオイはあるんだね」と安心する方法もあります。
人間は生きている限りニオイが発生するもので、ニオイのない人間はいないんです。
「みんなニオイがあるなら自分にだってあってもいいや」と思えたら気分が少し軽くなりませんか?
思い込みを拭い去れない自分はなんてダメなんだろう、と落ち込んでしまうこともあるかもしれませんが、辛抱強く「自分は臭くない」という情報に何度も触れて自臭症を克服しましょう。
「自分のニオイで他のひとに迷惑をかけたくない」と思ってしまうのは、配慮のあるひとだという証拠です。
自分の性格や個性を否定せず、検査結果や他人の言葉など「自分は臭くないという事実」だけに一度集中してみましょう。